更年期障害
以前は、更年期障害といえば閉経前後の女性の悩みと言われていましたが、近年は、40代以降の男女の性ホルモンの分泌量の低下が原因で起こる身体や心の様々な不調を指します。
漢方の古典「素問」に、人の成長の過程についても書かれています。それによると、女性は7年ごと、男性は8年ごとに変化がおとずれ、女性は42歳。男性は40歳頃から、腎気(じんき)と呼ばれる生まれながら持っている生命力が衰え始めるそうです。昔も今も人の成長の過程は変わらないというところでしょうか。
更年期障害の症状
- イライラする、午後になると熱感を伴う不調がでる
- 動悸がする、驚きやすい
- 汗が多い、足が冷えてのぼせる
- 急にほてる
- 不安に襲われる。やる気がでない
- 寝つきが悪い、寝てもすぐ目が覚める
他にも様々な不調があります。
更年期障害の方に多い体質
血虚(けっきょ)
血(けつ)が不足している
鬱血(うっけつ)
血の流れが悪い、滞っている
気虚(ききょ)
特に、腎や胃の気が不足している。エネルギー不足。
気鬱(きうつ)
気の巡りが悪く滞っている。
更年期障害を改善するポイント
まずは、一番気になる症状の改善をめざす
更年期障害の特徴のひとつは、色々な不調が一度に起こることです。すべての症状を一度に改善できればそれに越したことはありませんが、なかなか難しいのが現状です。
まずは、気になる症状をすべて書き出し、その中でも特に困っていることの改善を目指しましょう。そして、焦らず、気長に根気よく取り組むことが、余計なストレスを感じず、症状改善の早道になります。
生活習慣の改善だけでは難しい場合は、体質にあった漢方薬の服用をお勧めします。
更年期だからとあきらめない
更年期に不調を感じると、「更年期障害だから仕方がない、過ぎるまで付き合っていくしかない。」と諦めてしまう方もいらっしゃいます。40代は、職場でも家庭でも中心的な存在で忙しく責任も大きいとは思いますが、ご自分の体の声に耳を傾け必要なケアをしていただきたいと思います。それは、ご自身のためだけでなく、周りの方々の幸せにもつながります。
また、更年期特有の症状には甲状腺の異常や心の病などほかの病気の症状と似ているものもあります。自己判断をせず、定期的に健康診断等を受ける、病院を受診するなどしてほかに原因がないか調べることも必要です。
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